最初に好きになったのは

下世話なテーマで恐縮です。
結論から先に言いますと、今回は非常に興味深い結果が得られました。

甘酸っぱい仮説

感情と行動を暴走させ、「前後の見境なく島まで引っ張ってきてしまうようなやつ」と評されるサクがアキを好きなことは言うまでもないことでしょう。
しかし、最初に好きになったのはサクの方ではありません。

これから「最初に好きになったはアキの方である」という仮説を検証するわけですが、私の検証を全部読み終えても納得できないという方が絶対にいらっしゃると思います。
仮説が根拠に乏しいのは承知の上。それでも私は自分の勘を信じて、この甘酸っぱい仮説にすがりつきたいと思います。

異性が気になる年頃は?

最初からいきなり全力で人を好きになってしまうことなんて、そうあるものではありません。
サクとアキも、最初は「ちょっと気になるかな」くらいの感情からスタートしたのではないでしょうか。

では、それはいつの頃でしょうか。
高校の頃には「アキにたいする恋愛感情は偽りようのないものになっていた」と、中三の頃には「彼女に思いを寄せる男子生徒の一人として、自分を意識した」と、サクはそう言っています。

しかし、アキがサクを意識していたのは、ずっとずっと前です。
それは、サクとアキがはじめて出会った中二の頃よりも前のことなのです。

おませな女の子

第一章の2。二人のはじめての出会いの描写から、印象的な場面を抜粋します。

 アキとは中学二年生のときに、はじめて同じクラスになった。それまでぼくは彼女の顔も名前も知らなかった。

サクはこんなところでしょう。
ところが。

「松本くんて、ロックとか聴くんでしょう」
「うん」ぼくはちらりと振り向いた。「どうして?」
「一年生のときから、友だちとよくCDの貸し借りしているのを見かけたから」

アキは一年生の時点でサク(の顔)を知っているだけでなく、サクの音楽趣味まで押さえていました。
しかも、貸し借りしているCDを遠くから眺めることで得たような雰囲気です。

さらに。

「松本くん、部活は剣道よね」
「ああ」

サクが剣道部に所属していることをアキがいつ知ったのかは、小説からは汲み取れません。ですから、これは同じクラス、同じ学級委員になってから知った情報かもしれません。
それでも、アキがサクに興味を持っていなければ、こうして部活まで覚えたりしませんよね...?


中二の年代だと、男の子は竹刀を振り回したりロックを聴いたり、自分の好きなことをして遊ぶことが多いものですが、女の子は違います。
そう、中一の頃から、ステキな男の子をさりげなくチェックしているものなのです。アキのように。