多彩な表現

説明抜きでいきます。こちらをご覧ください。

言わんとするところがわかった。 / 寂しそうに目を逸らした。 / やや思案顔になった。 / 謙遜して見せた。 / 諳じた。 / 笑いを不意に収めた。 / 重大な疑問を提起した。 / ため息まじりに呟いた。 / 小さく笑った。 / 当惑したように顔を上げた。 / 表情をにわかに曇らせた。 / とらえどころのない寂しさを感じていた。 / 間抜けな相槌を打った。 / あらたまって言った。 / 顔を値踏みするように見ていた。 / 口を開いた。 / 何事か考えていた。 / 心なしか目をう潤ませて言った。 / なんだかちょっと怒っているみたいだ。 / 満足そうに言った。 / 眠りに落ちた。 / にこにこしながらたずねた。 / 即座に反論した。 / 白々しい気分になった。 / ぎこちなく首を横に振った。 / 心が動かない。 / 話のつづきに戻るような口調で言った。 / いきなり呼ばれた。 / 恐ろしい確信にとらわれた。 / 念を押すような口ぶりだ。 / 面食らって言った。 / 誰かが付け加えた。 / ざっと目を通した。 / 心ここにあらずといった風情だ。 / 眼差しを彷徨わせた。 / うっとりした表情で言った。 / いやな予感がしはじめていた。 / 心ならずも冷淡な声色になった。 / 満足そうに頷いた。 / 眼鏡にかなわなかった。 / 声の変化など、まるで気にしない様子だ。 / しおらしく目を伏せた。 / 耳を傾けた。 / 困ったように笑った。 / 首を横に振った。 / 不貞腐れた。 / 肩で息をしながら言った。 / 心に固く蓋をした。 / 胸の中で反芻しているようだった。 / 油を搾られた。 / つかまえて言った。 / 空恐ろしいものに感じられた。 / 居すわってしまった。 / あわてて押しとどめた。 / 大きなため息をついた。 / 弁解するように言った。 / 愚痴をこぼしていた。 / 話しかけてきた。 / 寂しい気持ちになった。 / 突き放すように言った。 / 会話が途切れた。 / にこやかに答えた。 / 遺言のように繰り返した。 / 夢うつつな気分だった。 / 足をすくわれた。 / 自分に言い聞かせた。 / 別のやつが言った。 / たじろぐような素振りを見せた。 / ちょっと怒ったようだった。 / 慌てて言った。 / 言葉が少なかった。 / 翻意を促そうとした。

これが何を意味しているか、わかりますでしょうか。
薄っぺらいと酷評された『世界の中心で、愛をさけぶ』の、第一章(文庫判でたった60ページ)から抜粋した、人物の行動および心理描写一部です。
(出現順序は順不同、語尾は「~た」に統一)

「見た」「聞いた」「考えた」「言った」のような、小学生作文レベルの表現と対比してみてください。
読んでいて単調にならないように、これだけの技巧が「薄っぺらい」小説の中に用いられているのです。

もちろん、片山先生の作品に限らず、すべての小説が同様の技巧を駆使しているものと思われるのですが、実際にこうして取り出してみると......まさに驚嘆のひとことです。