良くも悪くもライトな展開
コミックと原作とでは、狙っている読者層が大きく異なります。
原作が狙ったと思われる読者層よりもさらに若く、まず確実に高校生に読まれることを想定しています。
それを受けてか、描かれている時代も原作より少し新しくなっているようです。骨髄バンクはあるがケータイは使われずに交換日記、となると1995年前後の話にしているのではないかと思いますが、細かい分析は控えておきましょう。
とにかく、高校生をコミックの世界観に引き込み、共感してもらうために、良くも悪くもライトな展開になっているのが非常に特徴的です。
難しい話はどこにも出てきません。『葛生』の引用もなければ、アボリジニの死生観も紹介されません。小難しい哲学をサクが口走ることもありません。
一方、心理描写がいとも簡単に登場人物の口から表現されます。サクがアキに告白する場面や、ラブシーン直前のキメ台詞もあります。何を考え悩むのか、そういった想像をまったく働かせることなく、ライトな感覚で読めるようにと、コミックは構成されています。
しかし、そういった理由で原作とコミックの優劣を判断することが良いとは思いません。
小説には小説の、コミックにはコミックの愉しみ方があります。
原作のプロットを巧みに活かしつつ作られた別作品であると割り切って、ラブ・ストーリーの世界に浸りきるのもまた幸せな読書生活であると、私は信じて疑いません。
"その後"の描写
コミックのストーリーにおいてもっとも特徴的なものを一つ挙げるとすれば、"その後"が描かれていることでしょうか。
原作中ではまったく触れられていない、アキを失った後のサクの人生が、実に生き生きと、そして実に切なく記されています。
セリフを引用して皆様にお見せしようかと、何度思ったかわかりませんが、我慢して控えておこうと思います。
ただ、皆様が実際に手に取って、ページをめくってくださることを願います。
余談
以前、ここのドメインを使ってブログを運営していた時のこと。
現在と同じように、いや現在よりずっと激しい頻度でセカチューの記事を書き連ねていると、見慣れない人からのコメントが。
それは、このコミックの編集者の方からのコメントでした。
作品のファンにとって、その作品のクリエイターから直接コメントをいただくことがどれほど嬉しいか、皆様に想像できますでしょうか...?
居住まいを正してからコメントを読みましたっけ。ブログを閉鎖した今となっては、いい思い出です。
